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査読結果への対応の仕方

論文を書いて、希望の学会誌へ投稿すれば、大抵は「査読」を受けることになります。

むしろ査読を受けないで掲載される論文は、誰のチェックも通ってないということなので、それは論文じゃなくて小説なんじゃないか…とすら思えます。

 

さて、査読結果が届いて、1発で掲載となる…という事は、まずないでしょう。

何かしら指摘があって、修正を求められます。

そして、付随する判定は「指摘された箇所が修正されれば即・受理」という判定のほか、「指摘された箇所を修正して、その原稿を見てから再度判断する」という判定もあります。悲しいかな、「掲載不可」の判定も。

 

このサイトを確認される方の中には、指導して頂ける医師・薬剤師・大学教員等と一緒に論文を書いていることと思います。

そして、査読結果が返ってきたら、真っ先に「こういう結果が来ました」と相談する。

 

はい、ここ大事です。

指導してもらえる薬剤師からの「指摘された通りに修正して、もう一回出しておいて」に注意です!

「指摘された通り」が、恐らくですがアナタと指導薬剤師とでは認識している意味合いが違います。

 

指導者の意図する「指摘された通りに修正」とは、査読者が求める修正と同じです。

どういうことかと言うと、1つ指摘されたら、その関連項目も自主的に見直して、査読者が「おっ、指摘以上の内容に修正出来ている!」と小躍りしてしまうような修正を指すと思われます。

 

対して、研究初心者が受け止める「指摘された通りに修正」とは、指摘を額面通りに捉えて、その箇所のみを指摘された文章の通りに変更(あえて修正とは書きません)した状態を指すと思われます。以前、私も同じように認識していました。
「よし、この文言に変えれば査読を通るんだな!」と。大間違いなんですが。

これは全体が見えていないため、関連項目をどこに書いていたかが曖昧で、読み返しても一見してそれが関連項目だと気づかないから起こるのではないかと過去の自分を振り返ってみて思いました。

もちろん、自分で書いているので文章はほぼ覚えているわけですが、木を見て森を見ず…というか全体の流れとしての認識がぼやけたままなのだと思います。

 

ということで、査読結果が来た場合の修正方法について提案です。

  1. 指摘を1つずつ修正して行く前に、査読結果を最初から最後まで(査読者が2名の場合は2名分)を2回以上読んで、内容をおおよそ暗記・把握する。
  2. 自分が出した論文を印刷したものに、指摘された箇所を、鉛筆で大雑把にマルで囲っていく。
  3. 1度、自分の論文を最初から最後まで読み、その後(読みながらではない)、マルで囲った箇所と関連する内容(例えば「結果」の項目で指摘があれば、その結果を出すために設定した「方法」と、結果から導き出した「考察」、その結果に関する記述が「緒言」にある場合は緒言も)の両方を赤ペンで囲うと共にアルファベットか数字で印を付ける(グループ化)。
  4. 3で修正すべき箇所のグループ化が済んでいるはずなので、再度査読結果に対し順番に対応していく。グループ内の他の箇所にも同様の修正がはいるはずなので、忘れないように対応する。
  5. 一旦、全ての修正が済んだところで、論文を最初から最後まで読む。「て・に・を・は」や接続詞がおかしいところを直す。また、同じ語句が近い文章で繰り返される場合は、文章をまとめるか違う語句を用いるなどの修正も行う。
  6. 共同研究者にも確認してもらい、指摘があれば2~5を繰り返す。
  7. 共同研究者から指摘がなくなったら、自分が査読者になったつもりで論文を最初から最後まで確認する。
    査読者の気持ち(苦労)はコチラに書いてます。

これは、私が査読を担当した論文で、私が修正するなら…と思いながら先日やってみた方法です。思いの外スムーズに修正が出来ることに気づき、また査読者の意見も取りこぼすこと無く確認できる方法だと思います。

ポイントは、2でいきなり赤ペンを使わないことでしょうか。色のインパクトが強すぎて、赤で印を付けた箇所以外に意識が向かわなくなる恐れがあります。全体像から徐々に各指摘へ意識を当てていくことに意味があると思っていますので、慣れるまでは端折らない方が良いと思いました。

 

さて、場合によっては指摘された箇所ばかりになってしまって、元の文章が見えなくなるような事態になることもあると思います。そのような場合は、周辺の文章全てに問題があると考え、ごっそり見直す勇気も必要です。

場所によっては箇条書きにしてみたり、構造化されたタイトル(緒言、方法、結果、考察 etc)内で更に項目分け(例:1.調査対象 etc)して見やすくするなどの方法も有効と考えます。

処方箋は用法ごとにレシピ(体裁上では段落)が分かれますが、もしこれが改行や段落分けが行われずに書かれていたら…ミスの元だし読みづらいですよね。読んで貰ってこその論文なので、読み手への配慮も重要だと考えます(配慮≠「ですます」調)。

 

今の時点でお伝えできる事は書いたつもりです。今後、良い方法が見つかった場合は適宜修正していきます。

ただ、上記の修正をして指導薬剤師に確認してもらい、更に指摘があれば対応…とやっていると、2ヶ月くらいはあっという間に過ぎていきます。査読結果に落ち込む暇はありません。頑張りましょう!


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