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第52回 日本薬剤師会学術大会に参加

学術大会に参加してまいりました。

私自身、オーラル発表があり(O-19-5)発表して来たのですが、またいくつか学ぶことが出来ました。

 

1日め午後は14時から開始の口頭発表1セッションを拝聴し、急いで上の階の「特別企画 臨床研究教育セミナー」に走りました。

既にお一人目の先生のお話は終わっており、お二人目の先生の後半のお話から拝聴することが叶いました。

 

やはり、プロトコルが大事…なんです。

これに関しては登壇された先生方も仰っておられました。

実はこのセミナーの話を拝聴しながら、私の中の理解というかイメージが進みまして。後述します。

 

さて、1日め午前と2日め午前は、主にポスター会場で過ごしました。

携帯に何か打ち込みながら、ポスターをなぞってゆっくり歩いていたオジサンを覚えておられたら、それは私です。

何をしていたのかと言いますと、ポスターの頭書きを確認していました。

 知り合いの先生のポスターを見て、ふと次のポスターに目を移した時に違和感を感じたんです。

「何かが違う!」

と。

 

そこで、緊急ですがプロトコルは無い状態(その場で思いついたので当然です)でその場で研究を開始しました。

時間が経過するにつれ掲示されるポスターも増えますので、最後にデータを取った2日め(10/14)の午前9:00~10:00のデータを記します。

 

ポスター発表は、台風の影響もあり420題中で掲示されていたのは372題でした。

 

このうち、ポスターの頭書きにおいて、通常は

  1. タイトル
  2. 筆頭発表者、共同発表者
  3. 2の所属

の順番です。

これは、研究の最終成果物である論文での書き方に倣っているものと思われ、世界共通と考えます。

また、本Bipppsにおきましても頭書きの書き方を説明しております。

演題・発表者名の印刷

 

これに対し、今大会のポスター発表において、

  1. 発表者名より所属の記載が先:157題
  2. 発表者と所属を紐づける番号がない等の番号に関する不備(所属が1施設の場合も含む):172題

を確認しました。

 

上記1において、私個人の意見ですが…会社が論文を書くわけではなく、書くのは人です。もちろん、会社の許可等はあると思いますが、会社が他の業者に依頼してできるものでもありません。例えば会社を移っても論文は著書に付いて来ますので、研究者や著者の案内が最初であり、その所属は後になると思っています。

 

上記2においては、所属が1カ所の場合はアリかなとも思いますが、冒頭に書いたように論文に倣っての記載と考えると、やはり1施設であっても書いた方が良いのではないかと思いました。私の不勉強だったですが、所属が1箇所の場合は番号は振らないようです。従いまして、上記2の記載を改めました。

(当日、Facebookに投稿した文章を、ほぼそのままコピペしております)

 

これを見て思うのは、指導してくれる薬剤師に出会えていない薬剤師がどれほど多いかという事です(私のオーラル発表でも同じ見解を述べております)。このような、いわゆるお作法的な事は、必要な時に先ず教えてもらえ、違えばすぐに指摘して頂ける内容です。

はるか昔から世界中で行われており、その長い歴史の中で培われ定着してきた世界共通の「お作法」を、日本の一部の薬剤師によって変更するのは、「時代の変化」などではなくただの無知だと思います。

他の国の方々が見たら、「なぜ日本の薬剤師は指導者がちゃんと教えないのだ?」と思われるかもしれません。

 

さて、これ以降は最初に書いておりましたプロトコルが大事…という話も少し絡んできます。

プロトコルが大事なのは、本サイトでも度々触れております。

ただ、成果が出るか出ないかすら分からない状態で綿密にプロトコルを組んで、何をすればよいのかも分からないままに倫理審査に向けての準備をしなければならないなど、私に家を1軒建てろ(金額的な問題ではなく、大工さんとしての技術的な問題の話です)と無茶ぶりをするようなものであると考えます。

 

「何か気になって、やってみたらデータが取れて、一定の傾向もみられ面白い結果になったので、発表してみよう!」

このパターンが、ある意味王道だった研究し始めの頃。

おそらく、若手薬剤師と言われる皆さんもこれに近い手順をお考えだったのではないでしょうか?

たとえば、このページの前半のように。

 

そこに、「先ずはプロトコル」と言われても、結果が出るかどうか分からないのにやる気を削がれる思いがする…。

 

では、こういうのはどうでしょう。

  1. 何か気になって、やってみたらデータが取れて、一定の傾向もみられ面白い結果になった
  2. では、このデータは参考として、プレ研究という位置づけにしよう
  3. プレ研究の手法を、もっとしっかりしたものにして、プロトコルを作ろう
  4. 倫理審査をお願いしてみよう
  5. 倫理審査の承認も得て実施したら、やっぱり面白い結果が出た(あるいは予定していた結果と違う結果が出て逆に更に面白くなった)
  6. 発表してみよう!

1の直後に6だったのを、間に2~5の手順を入れます。

これなら、皆さんの動機もそのままに、少し時間を要することになりますが内容も行き当りばったりではなく重厚なプロセスを踏むことが出来るので、より内容の濃い結果が得られます。

 

実は、「特別企画 臨床研究教育セミナー」の著名な先生方も同じような趣旨でお話をされていたのかもしれません(違ったら申し訳ございません)。

でも、1~6の手順を踏むのなら、出来るような気がしませんか?

 

そして、本記事における「見え消し線」(文字に線を引いてなかったことにしつつ、元の文章も残ることで何が駄目だったのかが分かります)でもお分かり頂けると思いますが、これが発生するのはプロトコルがない、十分に練られていない研究だからです。これをなくすためにもプロトコルは大事であります。

ですので、気になってデータを取ってもそのまま発表に行かずにプレ研究として扱う勇気、これが大事ではないかなと…今大会で強く思った次第です。

 


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