さて、一番のネックになると言っても過言ではない「方法」について、詳細を詰めて行きましょう。
項目の順番は倫理審査会で異なることがありますが、必要とされる項目・内容は同じ(はず)です。
「1)倫理審査(委員)会を選定」に挙げた「冊子「研究倫理審査 申請準備ガイド ~研究計画書の記載方法~」 【PDFファイル:44ページ、4.0MB】」(以下、申請ガイド)は入手していると思います。
この申請ガイドから、「方法」を記載するのに必要な項目を抜き出してみます。
- 期間
- 対象者
- 方法
以降、詳細です。
1.期間
倫理審査ののち、承認が降りてからの開始になるため、開始時期の記載がいつなら良いのか分からないと思います。
倫理審査には「迅速審査」というものもあり、特定の条件を満たす場合に通常の倫理審査よりも短期間で承認の可否が降りる場合がありますが、これは倫理審査会側が決めることであって、申請者ではありません。
従って、あくまで経験則ですが通常は1ヶ月程度を見込んでおけば良いのではないかと考えています。
ただし、倫理審査により指摘が発生し、再度審査を申請する場合はさらに1ヶ月を要するでしょう。
また、2019年度の日本薬剤師会学術大会から倫理審査が必要になったものの、倫理審査会が設置されて間もない組織もあり、倫理審査に時間を要する場合も考えられますので、ご注意下さい。
私は、研究内容の変更が生じる(もちろんその際は変更届が必要です)場合も考慮し、倫理審査で承認が降りた日から1年間とすることが多いです。
例)研究期間:倫理審査会の承認日より1年間
2.対象者
これは研究の内容によって大きく変わりますので、ここで例を挙げられるとすれば私の過去の研究例くらいだと思います。
私の過去の研究の殆どがWebアンケート調査であり、Facebook等のSNSやメールを利用してURLをお知らせする方法をとりました。
また、病院・診療所勤務薬剤師と保険薬局勤務薬剤師を対象とすることが多かったため、次の文章が常套句になっています。
例)全国の病院・診療所勤務薬剤師、全国の保険薬局勤務薬剤師
3.方法
ここが一番大変で重要ですね。
何をどのように行うのか、「3)プロトコル作成の準備」の買い物の例以上に詳しく決めなければなりません。
対象が人である場合、最低でも下記の項目が必要になると思われます。
- どのように周知するか
- どのように同意を得て、どのように拒否の意思を得るか(オプトアウト等)
- どのような内容のデータを得るのか
- どのようにデータを得て、どのようにデータを回収するか
- 得たデータをどのように扱い、どのように廃棄するか
- 得たデータについてどのような統計処理を行い、判断の基準(有意水準等)をどのように設定するか
特に、「3.どのような内容のデータを得るのか」と「6.得たデータについてどのような統計処理を行い~」が、研究経験に大きく依存すると考えます。
というのも、研究をいくつか行って論文を書いたりしていると、
-
- このデータだけでは、目的の結論まで引き出せない
- 項目ごとに比較したいのに、片方にある項目がもう片方にない
- 複数の項目で同じ内容を聞いているのに、詳細な比較が出来ない
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- 例1)実務経験年数を、一方では自由記入で数値を得て、一方では「0~5年」など群分けして得ている
- 例2)実務経験年数を、「0~3年」「4~5年」「6~10年」「11~20年」など規則性なく群分けして得ている
などの問題に当たることがあります。
上記の例1・2の場合、統計処理において使用できないデータとされる場合もあります。
個人的には、ある程度の統計・解析に関する知識を持ち合わせないと、アンケートの設問そのものを相応しくない形式で作成してしまう恐れもあり、統計・解析を学ぶことも大事だと考えています。
もし私が離島に住んでいなければ、私は恐らく統計・解析の勉強会を探して参加していると思います。
これ以上は、個々の研究によって大きく変わるため詳細に触れることが出来ません。ご了承下さい。