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プロトコルの作成

<追記> 2019年3月9日

 

方法の詳細が確定したら、いよいよプロトコルの作成に入ります。ここまで長かったですね。

 

 再び、申請ガイドに倣って見ていきます。

前述の通り、私は一部の方法でしか研究をしたことがありません。殆どがアンケート調査です。

従いまして、申請ガイドの中の「アンケート」に沿って話を進めます。

 

 …とは言っても、実はこの申請ガイドが良く出来過ぎていて、私が加えてお伝えすることもほとんどない状況です。

個人的な注釈を入れる程度で終わりそうです。

 

申請ガイド

  • p.8 (2)研究実施施設
    • 「研究を実施する施設」と解釈すると、さも「解析等を行う、研究の本拠地」のようなイメージを持ちますが、この場合は「研究(アンケート)対象者がいる施設」と解釈します。
      例えば、SNSを利用して周知し全国の保険薬局勤務薬剤師を対象にアンケートを行う場合は、「全国の保険薬局」と記載します。
    • 上記に対し、対象者がいない研究の場合(書籍やインターネットの情報・データ等のみを扱う場合)は、対象者は「研究者の施設にある物品」とも解釈できるので、その場合は研究者の勤務施設名を書けば良いそうです。ただし、これらの場合は多くが「人を対象とした研究」ではないので、倫理審査は不要な場合がほとんどだと考えます。
    • 「(注)協力薬局が決定したら~」の文章は正直何のことを指すのか分かりませんでしたが、文末に「計画変更の倫理審査を受けて下さい」とあることから、「(注)協力薬局に追加・変更があった場合は~」が正しいかもしれません。
  • p.9 (3)研究の目的および意義
    • 審査員の苦労を軽減すること、長文になるとポイントがぼやけてしまうことから、「簡潔に」と書かれていますが、申請ガイドのように簡潔に例を書いても483文字です(Microsoft Wordにペーストしてカウントしました)。一旦、7~800文字程度で書いてみて、冗長な部分を削っていく事で500文字程度の濃密な文章に出来るものと考えます。
  • p.9 (4)研究の方法および期間
    • 「3)プロトコル作成の準備」で挙げた内容の意味をご理解頂けると思います。プロトコル記載の内容と違う不適当な操作・作業が入り込まないように、事細かに決定しておく必要があります。
    • 最終的に論文とするとき、この「方法」はエビデンスレベルを決定する大変大事な項目です。詳しく知りたい方は、インターネットで「エビデンスレベル バイアス」等で検索頂くとたくさん出てきます(私はまだ理解が追いつきません)。
      ここだけの話ですが、「ランダム化(無作為)比較試験」と「無作為抽出」を混同し、「無作為抽出のほうがエビデンスレベルが高い」と最近まで勘違いしていました。
    • 標本の抽出方法(アンケートの対象者を選ぶ方法)も、バイアスを可能な限り除去できるものを選んだほうが結果の適用範囲が広がると思っております。ごく限られた条件の人を対象(有意抽出)とした調査では、同じ条件の人にしか結果を適用できません。薬剤師対象の意識調査などであれば、可能なら無作為抽出(いくつか分類されます)を選択したほうがよりベターかもしれません。
  • p.10 (5)研究対象者の選定基準
    • 忘れがちなのは、「どのような人を明確に『除外』するか」です。
  • p.10 (6)研究の科学的合理性の根拠
    • 一口に「根拠」と指示されても、私は分かりませんでした。そこで、「この内容で発表したと仮定して、どのような指摘を受けるだろう」と考えました。例えば、なぜ研究の対象者をこの人達としたのか、なぜこの周知方法を選んだのか、などです。もちろん、研究方法によっては得られるデータにバイアスがかかる事も想定されるので、そのバイアスについて把握しているのか、把握した中でどう扱うのかも根拠となるでしょう。
  • p.10 (7)インフォームド・コンセントを受ける手続等
    • 同意を如何に受けるか、拒否の意思をどうやったら妨げずに済むか、これは前項の「4)「方法」の詳細を詰める」でも挙げておりました。すなわち、同意に関する頭書きが別途必要であって、場合によっては同意書も用意しなければならないという事です。
  • p.10 (8)個人情報等の取扱い
    • 近年、USBメモリに移して持ち歩く等の行為により、個人情報が漏洩した事件も多く耳にします。これらは、この項目を遵守していないがために起こるものです。どうやったら漏洩を起こさずに済むかと考えたら、自ずと記載する内容も決まると思います。項目「10.試料・情報 (研究に用いられる情報に係る資料を含む) の保管及び廃棄の方法」と関連する内容ですが、重複しないよう分けて記載しましょう。
  • p.10 (11)研究機関の長への報告内容及び方法
    • プロトコルと共に倫理審査会へ提出する書類に、おそらく「申請書」が含まれることが殆どだと思います。この「申請書」にも記載のある「研究機関の長」とは、「研究機関」がご自身の勤務施設であることから、いわゆる「社長」「代表取締役」が該当します。薬局の長として施設責任者である管理薬剤師(場合によってはご自身)を設定するのは誤りです。
  • p.11 (12)研究の資金源等、研究機関の研究に係る利益相反及び個人の収益等、研究者等の研究に係る利益相反に関する状況
    • 利益相反はCOIと略されることが多く、学会発表でも開示について指定されている場合が殆どです。開示が必要な利益相反については、条件が設定されているため日本薬剤師会ホームページの該当ページをご確認下さい。
  • p.11 (13)研究に関する情報公開の方法
    • 申請ガイドには「あるいは」で繋いで書かれていますが、ここはカッコよく「本研究結果は学会で発表し、学術論文として公表する予定である」と記載しましょう。最後は論文化しなければ、せっかくの研究も埋もれてしまいます。
  • p.11 (14)研究対象者等及びその関係者からの相談等への対応
    • 申請ガイドには事務局とありますが、もちろん事務局を設置できない場合(個人数人で行う場合など)もあるでしょう。研究者等としてプロトコルに記載されている者のうち、責任を負える者が相応しいと考えます。
  • p.11 (15)代諾者等からインフォームド・コンセントを受ける場合には、その手続 (代諾者等の選定方針並びに説明及び同意に関する事項を含む)
    • 代諾者等についての扱いは、「(5)研究対象者の選定基準」にも関わります。相違が無いように注意して設定して下さい。

さて、p.11(18)以降については、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」において、「該当する場合にのみ記載」とされる場合もあります(ICR臨床研究入門-臨床研究の基礎知識講座-第10章より)。

ここは申請する倫理審査会によって求められる項目が変わってくると思いますので、是非ご確認下さい。

 

そしてここまでくれば、恐らくプロトコルは完成しているものと考えます。

大変お疲れ様でした。

 

共同研究者がいる場合は、必ず全員で齟齬や共通認識として間違っていないか、確認をしてもらって下さい。 


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